
設計・加工・塗装・キャラまで!ロボットワールド2025出展レポ
株式会社エムトピアは、2025年6月5日・6日の2日間、インテックス大阪で開催された「関西ロボットワールド2025」に出展しました。この記事では、展示会出展の経緯から準備段階、当日の様子をレポートします。
① 展示会出展の狙いと背景
「関西ロボットワールド2025」への出展を決めた背景には、AMRやAGV、ロボットハンドといった領域からの、試作のご相談が増えてきたことがあげられます。
中でも目立つのが、プレゼン段階で「魅せる外観」が求められるケースです。ただの形状確認用ではなく、完成度の高い外観が必要とされる場面が増えてきました。
このような変化を受けて、同じニーズが他社様にも広がっているのでは?という仮説をたてたのです。
② 出展品の紹介(アルミ筐体&樹脂筐体)
今回展示したのは、素材構成の異なる2種類の筐体です。
ひとつはカプセルトイ型。下部にアルミ、上部に樹脂を使い、金属感のあるシルバー塗装でまとめました。
もうひとつはベビーカー型。こちらは全体をABS樹脂で製作し、同様のシルバー塗装処理で仕上げています。
いずれも、素材の違いを感じさせない「一体感のある外観」を意識した設計です。
展示では、市販の移動プラットフォーム「カチャカ」で、筐体を動かす構成を計画していました。1台のロボットで2筐体を交互に載せ替え、動きとともに展示する狙いです。
……が、会場の床には想像以上に段差があり、カチャカが動作できない場所が多く、自動運転ができないというトラブルが発生しました。
それでも、筐体の完成度や素材の使い分け、塗装の質感には多くの来場者が足を止めてくださいました。特に多かったのが、「これ全部アルミじゃないんですね?」「樹脂なんですか?」「アルミなんですか?」という反応でした。こちらが伝えたかった異種素材の錯覚と表面処理技術が、きちんと届いていた実感があります。
ここで、社内テストでなめらかに動くカプセルトイ型の姿と、展示会場で少し動くベビーカー型の姿をご覧ください。
③ 製作裏話・メイキング
出展が決まってから、社内各部署を横断した、展示会準備チームが結成されました。展示会に出展する筐体は、社内でアイデアを出し合い、チームメンバーで共有しながら形にしていきました。
「せっかくなら、ロボットらしいモチーフを」
「金属にも樹脂にも対応できることが伝わる構造に」
そんな声をもとに、筐体2案が決定。
1台の搬送ロボット(カチャカ)で切り替えながら展示する構成も、この段階で固まりました。
最初のアイデアは製造現場から。そこに設計・モデリングチームが加わり、具体的なデザイン案として4パターンを作成。
最終的に選ばれたのは、「金属も樹脂もいける感」が最も伝わる組み合わせでした。
製作工程は、実際の試作と同じ工程で進行させました。部品の削り出し、貼り合わせや塗装前の仮組み、仕上げの微調整まで、すべて社内対応です。
カプセルトイ型では、下部構造をアルミ板から切削し、複数のパーツを貼り合わせて構成。透明ドーム部分はアクリルを一体加工し、磨きとバフ仕上げで質感を整えました。
ベビーカー型を含むその他の外装パーツはすべてABS材を使用。複数部品を丁寧に加工・接着し、継ぎ目が目立たないように仕上げています。
塗装は黒の下地にシルバーを重ねることで、樹脂部分も金属のような統一感を演出しています。
また、遊び心のある仕掛けとして、FDM方式3Dプリンターで製作した自社キャラクターをカプセル内に封入。全9色+シークレットのバリエーションで、合計350個を用意しました。来場者が手に取って楽しんでいただける要素として、集客にもつながったと感じています。
ベビーカー型には、営業担当が準備したリアルな赤ちゃん人形を搭載。会場では二度見されるほどの存在感を放っていました。
「ただのモックアップ」ではなく、「伝わる展示」を目指して──
そうした設計と工夫が、来場者の皆様の印象に残る体験につながっていれば、私たちにとって何よりの成果です。
④ 技術的ポイント・こだわり箇所
見た目はポップな展示品。しかし、中身はデザインモデル試作と同じ手順と精度をかけています。
設計・加工・塗装──すべて社内で一貫して対応できる体制があることで、短い納期でも展示に耐える品質に仕上げることができました。
塗装は筐体だけでなく、展示ブースまわりにもおよびます。背面パネル、社名の装飾、ネジ頭なども含めて、色と質感を丁寧に揃えています。社名パネルの文字もカッティングシートで自作しました。また、搬入直前にロゴの貼付が決まりましたが、それも社内で印刷・対応し、現場で調整しています。
目立つ仕掛けが多い展示にはなりましたが、根底には、いつものモノづくりの姿勢があります。
⑤ 展示会当日の様子
展示当日は、計画どおりにはいかないこともありましたが、一方で、筐体の完成度や塗装の質感には多くの来場者が足を止めてくださり、反応も想像以上に多彩でした。
SNSフォロワー様向けに展開していた自社キャラクター入りのカプセルトイも好評で、3Dプリントされたカラフルな造形物を見比べながら話す姿が印象的でした。
後半には、カプセルトイ型筐体に照明を仕込み、アクリル部分で光を点滅させる演出を追加。
「これって何ですか?」
と、展示への入口として機能する動きになっていたように思います。
また、筐体以外の展示──PC切削による導光レンズのサンプルや3Dプリント造形、多軸加工によるアルミ部品などにも注目が集まり、 それぞれの素材感や加工精度に対して、具体的な質問をいただく場面もありました。
⑥ おわりに
限られた条件のなかの展示でしたが、「伝わる展示」 に目を向けていただけた手応えがあります。こうした場で得られた声や気づきを、これからの提案づくりにつなげていきます。
ロボット筐体に限らず、加工や展示モデルづくりに関するご相談もお受けしています。どうぞお気軽にお問い合わせください。
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