接着(せっちゃく)

接着とは?

接着とは、接着剤などの外部物質を介して、2つ以上の部材を表面で結合させる接合方法です。異なる材料同士でも、同じ材料同士でも適用でき、化学的・物理的・機械的な相互作用によって強固な結合が形成されます。

接着剤を塗布する様子

接着剤を塗布する様子

主な特長とメリット

  1. 多様な材料の組み合わせに対応
    プラスチック、金属、ガラス、木材など、素材の種類を問わず接合可能です。
  2. 外観を損ねない設計性
    部品を溶かしたり穴を開けたりする必要がないため、製品の意匠や形状を保ったまま接合できます。
  3. 均一で安定した強度
    接着面全体で荷重を分散できるため、特定の箇所に負荷が集中せず、安定した接合が実現します。
  4. 経済性と作業性に優れる
    特殊な設備を必要とせず、手作業でも対応可能なため、コスト効率が高く、作業の自由度も大きくなります。

接着のメカニズム

接着は、以下の3つの要因が複合的に働くことで成立します。

  • 化学的結合 接着剤と材料の分子が反応し、共有結合や水素結合などを形成します。

  • 物理的結合 分子間に働く引力(ファン・デル・ワールス力)により、接着剤と材料が互いに引き合います。

  • 機械的結合 接着剤が材料表面の微細な凹凸に入り込み、硬化後に物理的な「かぎ爪」のように作用します(アンカー効果)。

代表的な接着剤の種類

使用環境や求められる性能、対象素材に応じて、適切な接着剤を選定することが重要です。

  • エポキシ樹脂系 主剤と硬化剤を混合して使用し、高い接着強度と優れた耐水性を備えています。
  • 瞬間接着剤(シアノアクリレート系) 空気中の水分と反応して硬化するため、作業時間が短く、取り扱いが手軽です。
  • シリコーン系 弾性が高く、耐熱性・耐候性に優れ、構造の動きや歪みにも追従します。
  • ウレタン系 柔軟性と耐衝撃性があり、振動や衝撃にさらされる用途に適しています。

接着と溶着の比較

接着と並んでよく使用される接合方法に「溶着」があります。溶着は、熱や溶剤によって材料そのものを一時的に溶かし、冷却・硬化によって一体化させる技術です。両者の違いは以下の通りです。

項目

接着

溶着

接合方法

接着剤を使って結合

材料を溶かして結合

対象材料

異種材料も接合可能

基本的に同種の熱可塑性樹脂

仕上がり

接着剤の層が残る

接合部が一体化する

強度

接着剤の性能に依存

材料本来の強度に近い値が得られる

製品の用途や設計要件、使用環境などを考慮し、それぞれの特性に応じた接合方法を選択することが重要です。

接着強度を高めるポイント

接着作業においては、材料の取り扱いや作業環境が接合の品質に大きく影響します。
以下の基本的なポイントを押さえることで、より安定した接着強度が得られます。

  1. 表面処理の徹底
    接着面に油分やホコリが残っていると、接着剤の密着性が大きく低下します。
    脱脂や洗浄によって表面を清潔な状態に整えることが、強固な接合の第一歩です。

  2. 適切な固定
    接着剤の硬化中に部材が動くと、接着層が乱れ、強度が不安定になります。
    クランプや重しなどで静止状態を保つことで、安定した硬化と均一な接着が実現します。

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★関連サービス

デザインモデル

外観の美しさが重視されるデザインモデルでは、接着面を目立たせない仕上がりを追求しつつ、必要な強度を確保します。
意匠性と構造性のバランスをとった接合処理が求められます。

ワーキングモデル

実働を想定したワーキングモデルでは、接合部に対して機能的な要求がかかります。たとえば、水漏れ防止や衝撃への耐性など、使用条件に応じた接着仕様で試作を行います。

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