シリコン・ウレタンゴム試作をより早く! 3Dプリンター造形という選択肢
3DプリンターForm3B+での造形例をご紹介します
まずはこのクッション性を見てください!!
こちらは、当社がこのたび導入した、
Formlabs社の3Dプリンター【Form3B+】
で造形したサンプルです。
それぞれ異なる厚みの1mm~3mmの板材を曲げてみました。
軟性・クッション性が求められる部品は、製品全体のごく一部だけであることが多く、そこに時間をかけてプロトタイプを作るか否か悩む開発者様もおられると思います。
しかし、3Dプリンターを使用することで、もっと早く手に入るとしたらどうでしょう?
興味をもっていただけましたか?
製作可能な硬度について
当社が採用している材質Flexble80Aはゴム硬度SHORE80A(ショアA80)です。
ショアA80とは…
ショアA80は、硬さを示す指標です。
比較的に硬いタイプの軟質素材で、身近な物なら、タイヤやサンダルのソールの硬さに例えられます。
ただし、硬さが同じでも材質の厚さが異なると、触感は変化することもあります。
だからこそ、プロトタイプの制作と検証が必要となるのです。
そもそもショアAってなに?
ゴムやエラストマー、そして他の軟質プラスチックの硬さを測定するための指標です。
本格的に測定する時は、ショア・デュロメータという専用の試験装置を使います。
スケールの数値が大きいほど、対象となる素材の硬さは増します。
ショアA80とは異なる硬度の造形もできるの?
メーカー推奨の製造方法に従うと、硬度はショアA80になります。
しかし、方法によっては硬度を調整することも可能です。
次項にて製作の工程を追っていきましょう。
3DプリンターForm3B+での造形工程
機械は卓上の扱いやすいサイズです。
加工可能サイズは145×145×185(mm)です。
①奥のオレンジ色の機械で造形を行います
造形直後の画像です↓
3Dプリンターというと、下から上に積層していくイメージがありますが、Form3B+は上から下へと造形を進めていきます。
プラットフォームから樹脂が滴っているように見えますね。
②中央の黒い機械で洗浄を行います
サポート材を除去した後、洗浄を行います。
③手前の黒い機械でUV硬化を行います
UV硬化中の様子です。
60℃の温度でUV硬化を10分行うことで、ショアA80の硬度が出ます。
これがメーカー推奨の製造方法です。
硬化時間を短くすることで、硬度を下げる(=やわらかくする)ことが可能です。
色はしっかり硬化させると黄色味を帯びますが、硬化時間を短縮すると透明度が増します。
ただ、ちぎれやすくなるなどのデメリットもあります。
当社担当者が日々研究を重ねていますが、きっちりと硬度を狙い撃つことは不可能なので、できたなりになることをご了承ください。
④組立の様子
硬化後のパーツを組み立てている様子です。ぷにぷに感が伝わるでしょうか。
最後に、この3Dプリンターの造形の特性について次項でザックリ解説させてください。
3DプリンターForm3B+の特性について
【Formlabs社】の3Dプリンター【Form3B+】は、光造形LFS方式を採用しています。LFSは、Low Force Stereolithographyの略です。
端的に表現するなら、滑らかで精密な表面を実現できるマシンです。
一般的な光造形プリンターでは、UV光で固化する液体レジンを使います。
今では100円ショップ等でも液体レジンが販売されていて、アクセサリー作りに利用されたり、ネイルの材料として使われたりするので、身近に感じていただけると思います。
この液体レジンが満たされたタンクに造形プラットフォームが浸かり、UV光を照射することでレジンが固形化し、形が作り出されていくのです。
しかし、ちょっと面倒な点があります。
造形プラットフォームが液面から上がるタイミングで「剥離力」が発生し、造形物が縦に伸びてしまうのです。
ところが、LFSは硬化させるレジンが特殊なフィルムを通して底から照らされて、その部分だけが硬化します。
このフィルムはレジンとの接着力がとても低いので、新しい層を硬化させるたびにそれほど強く引っ張り上げる必要がないのです。
例えるなら、深いプールから身体を引き上げるような力ではなく、水面をチャプチャプと滑らせるように部品をすっと引き上げることが可能なため、それほど荷重力の影響を受けません。
そのため、滑らかで高精度な造形が可能になるのです。
その他の対応材質
様々な材料に対応しているForm3B+ですが、当社は下記2種類の材料から造形サービスをスタートさせました。
今まで紹介してきた軟質透明樹脂 Flexble80Aと、
繊細な形状の再現が可能な高強度な樹脂【GreyPro】です。
また、別の記事でGreyProをご紹介できたらと思います。
その他のエラストマー素材の試作について
狙った硬度で強度がある製品が欲しい場合
おすすめは注型です。ウレタン注型、シリコン注型ともに対応いたしますのでご相談ください。
3Dプリンターでしか作れない・とにかく早く欲しい・強度にこだわらない場合
当社のStratasys社製インクジェット方式3Dプリンターで、造形が可能です。
こちらは硬度を幅広く設定できるというメリットがあります。
ただ、製品の強度が弱くちぎれやすいという弱点があります。
ニーズにマッチングする場合は、たいへん魅力的な技術なので気軽にお問合せください。
また、【Form3+】の後継機種、【Form4B】も導入済みです。詳しくは、下記お知らせ機種をご覧ください。
ここまでお読みいただきありがとうございました。