ABS（アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂）とは、汎用プラスチックの代表格で、強度・加工性・コストバランスに優れた熱可塑性樹脂です。軽量で成形性が良いため、自動車部品、家電筐体、試作品など幅広い分野で利用されています。

（画像はイメージ図です）

試作では、こんなシーンでABSが使われます。

• 安価でバランスの良い試作をしたいとき
• 強度と剛性を持つ樹脂部品を作りたいとき
• 切削加工や射出成形に適した材料を選びたいとき
• 量産品と同じ樹脂で試作を行いたいとき

機械的特性 強度・剛性・耐衝撃性のバランスが良く、実用的な部品製作に適しています。

加工性 切削・射出成形・真空成形など幅広い加工方法に対応できます。加工時の寸法安定性も良好です。

表面性 塗装やめっきとの相性が良く、外観品質を高めやすい特性を持っています。

コスト 安価で入手性に優れており、コストを抑えた試作製作が可能です。

切削加工 丸棒・板材から削り出し試作を行います。精密な寸法精度が得られる基本的な加工方法です。

射出成形 量産前の試作金型で成形します。量産と同じ条件での検証が可能です。

3Dプリント（FDM） ABSフィラメントやABSペレットを使用して造形します。複雑形状の試作に適しており、短納期で外観確認が可能です。

真空成形 薄板を成形して外観部品を製作します。筐体やカバー類の試作に適しています。

塗装・印刷 外観評価用に表面処理を行います。ABSは塗装の密着性が良好です。

• 家電製品の筐体
• 自動車の内装部品
• 玩具や日用品
• 試作モデルや外観確認用部品

POM: 摺動性に優れるエンプラ。ABSより精密・高強度だがコストは高い
PEEK: 高耐熱・高強度のスーパーエンプラ。ABSより遥かに高性能だが高価
汎用樹脂: ABSが属する樹脂分類。安価で幅広い用途に使用される

ABSは、コスト・加工性・強度のバランスが良いため、試作で最も多用される樹脂です。切削や射出成形で短納期に対応できるうえ、塗装や加飾との相性が良く、外観確認や展示会モデルにも適しています。

量産材と同じABSを試作で使うことで、設計段階から量産に近い条件で検証できるのが大きなメリットです。試作製造において最も汎用性が高く、迷ったときの第一選択肢となる材料といえます。

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