射出成形(しゃしゅつせいけい)

射出成形とは?

射出成形とは、加熱して溶かした樹脂を金型に高圧で射出し、冷却・固化させて製品を成形する方法です。最も広く用いられているプラスチック加工法であり、複雑な形状や大量生産に適しています。

射出成形機

射出成形機

どんなときに使う?

こんなときに、射出成形で製品づくりが行われます

  • 大量生産を前提とした製品づくりをしたいとき
  • 精度の高い樹脂部品が必要なとき
  • 複雑な形状や薄肉部品を効率よく作りたいとき

射出成形は量産で活躍する工法ですが、試作段階でも活用されることがあります。

  • 量産と同じ工法で検証をおこないたいとき
  • 設計通りの形状が量産で再現できるか確認したいとき
  • 材料特性をテストしたいとき

よく使われる射出成形の方法

熱可塑性樹脂の射出成形
ABS、PP、PCなどを使用した最も一般的な方法です。再溶解が可能で、リサイクル性にも優れています。

熱硬化性樹脂の射出成形
エポキシなど特殊用途に利用される方法です。一度硬化すると再溶解しない特性を活かした用途に適しています。

ガラス繊維・カーボン充填樹脂の射出成形
樹脂にガラス繊維やカーボンを混ぜ、強度や耐熱性を高める方法。高性能が求められる部品に使用されます。

インサート成形
金属部品などを金型内に配置して樹脂と一体化させる方法。組み立て工程の削減や機能向上につながります。

よく使用される材料

汎用樹脂
ABS、PP、PE、PSなど。最も広く使用される基本的な樹脂材料です。

エンプラ(エンジニアリングプラスチック)
POM、PA、PC、PBTなど。機械的特性に優れた樹脂材料です。精密部品や機能部品に使用されます。

スーパーエンプラ
PEEK、PPSなど。特に高い耐熱性や耐薬品性を持つ高性能樹脂材料です。

金型の種類と違い

射出成形では、目的に応じて異なる金型が使われます。

量産金型: 硬鋼を使い、数十万ショット以上の耐久性を持つ金型です。大量生産に最適ですが、製作期間とコストがかかります。

簡易金型: 小ロットや短期需要に対応するための簡素化された金型です。試作の延長線上にあり、量産よりも耐久性は劣りコストとスピードに優れます。

試作金型:  設計検証や少量の部品成形に用いる金型です。アルミや軟鋼を使用し、短納期・低コストで製作できますが、簡易金型より精度が限定され、耐久性も劣ります。

関連用語

真空成形: 加熱したシート材を真空で型に吸着させる成形法。射出成形より簡易だが形状に制約がある。
ブロー成形: 中空製品を成形する方法。ペットボトルや燃料タンクなど大量生産される容器に利用される。
押出成形: 溶かした樹脂をダイスから連続的に押し出して成形する方法。パイプ、シート、フィルムなどに適用される。

研磨: 金型表面を磨いて成形品の外観品質を整える仕上げ工程。
アッセンブリ: 成形した部品を組み立てて製品化する工程。

ヒケ: 肉厚部の収縮差によって表面がへこむ不良。外観や寸法精度に影響する。
ウェルドライン: 樹脂流れが金型内で合流した箇所にできる線状の痕。外観不良や強度低下の原因となる。

試作製造での特徴

射出成形は、量産と同じ条件で製品を成形できるため、試作段階で最終製品に近い評価が可能です。試作金型を用いれば短納期・低コストで実際の樹脂成形品を得られ、設計検証や外観評価に広く活用されます。
また、簡易金型を使えば小ロット生産にも対応でき、複雑形状や精密部品も安定して製作できます。

このように射出成形は、量産性、精度、材料選択の幅広さを兼ね備えた成形技術として、開発から量産への移行を支える重要な工法です。

★関連サービス

試作金型

設計検証や少量の部品成形に用いる金型です。短納期・低コストに対応できますが、精度や耐久性は限定されます。

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