
量産試作における試作金型と切削加工の重要性
製品の量産を成功させるためには、量産前に十分な試作を行い、設計や製造プロセスの課題を事前に解決しておくことが不可欠です。量産試作の段階では、実際の製造環境に近い条件で製品を評価し、最適な生産方法を確立することが求められます。
そこで、量産試作において重要な役割を果たす試作金型と切削加工について、それぞれの特徴やメリット・デメリットを詳しく見ていきましょう。
1.量産試作とは?
量産試作とは、製品の量産開始前に試作を行い、品質や生産性の検証を行う工程のことです。この段階では、
- 設計の最終確認
- 製造工程の最適化
- 量産時の品質安定性の確認
- 製造コストの試算
といった目的で、実際の生産環境を想定した試作が行われます。量産試作にはいくつかの手法があり、特に「試作金型」と「切削加工」が主要な方法として用いられます。
2.試作金型とは?
試作金型の概要
試作金型とは、量産時に使用する本金型を作成する前に、簡易的な金型を用いて試作品を成形する方法です。主に樹脂成形製品の試作に用いられます。
試作金型のメリット
-
量産に近い条件で製品を検証できる
・本番の量産工程と同じ成形方法を使用するため、精度や強度などの評価が正確に行えます。 -
量産時の問題を事前に発見できる
・設計の微調整や金型の形状最適化を行うことで、量産時の不具合を最小限に抑えることが可能です。 -
コスト削減につながる
・試作段階で問題を解決することで、量産時の不良発生率を低減し、製造コストを抑えることができます。
・カセット型を使用して作成されるため、試作コストを抑えることが可能です。
3.切削加工による量産試作
切削加工の概要
切削加工とは、CNCマシニングセンターや旋盤などの加工機を用いて、材料を削り出して試作品を作成する方法です。金属や樹脂など、幅広い素材に対応できます。
切削加工のメリット
-
短期間で試作品を製作できる
・金型を作成する必要がないため、設計変更が頻繁にある試作段階でもスピーディに対応可能です。 -
高精度な試作品が作れる
・CNC加工機を使用することで、±0.01mmレベルの高精度な試作品を製作できます。 -
小ロット対応が容易
・切削加工は1個からの製作が可能で、少量試作に適しています。
4.試作金型と切削加工の使い分け
試作金型と切削加工は、それぞれ異なる特性を持ちます。以下の比較表を参考に、用途に応じた適切な選択が重要です。
項目 |
試作金型 |
切削加工 |
---|---|---|
リードタイム |
短め |
低め(小ロット) |
量産適応性 |
高い(量産に近い) |
低い(加工方法が異なる) |
設計変更の柔軟性 |
低い(修正困難) |
高い(すぐに変更可能) |
精度 |
高い |
非常に高い |
適用素材 |
樹脂 |
樹脂・金属など幅広い |
試作金型は、量産と同じ条件で試作品を製作したい場合に適しています。一方で、切削加工はリードタイムが短く、設計変更への対応がしやすいため、試作段階での仕様変更が多い場合に向いています。
5.まとめ
量産試作は、量産の成功を左右する重要な工程です。その中でも「試作金型」と「切削加工」は、それぞれ異なる目的や利点を持ち、試作の内容や求める結果によって適切に選択する必要があります。
- 試作金型は、量産時の成形方法と近い条件で試作でき、品質評価や金型の最適化に役立つ。
- 切削加工は、迅速な試作が可能で、設計変更にも柔軟に対応できる。
製品開発の初期段階では切削加工を活用し、設計が固まってきた段階で試作金型を用いることで、スムーズな量産移行が可能になります。試作段階での適切な手法選択が、製品の品質向上やコスト削減につながるため、それぞれの特性を理解し、効果的に活用することが求められます。
株式会社エムトピアでは、試作金型・切削加工の両方に対応し、試作から量産まで一貫したサポートを提供しております。まずはお気軽にお問い合わせください!