3Dプリンターでの試作において、最も避けたいのは「作ってみたものの検証に使えなかった」という失敗です。
事前に、向き不向きを整理しておくことで、無駄な手戻りを防げます。

まず確認!!向いているケースVS向いていないケース

向いているケース

向いていないケース

仕様が固まっていない初期段階

量産工法との整合性確認

機構や概念を確かめる原理試作

寸法精度が合否基準になる部品

形状確認(外観・サイズ・組み合わせ)

量産レベルの表面品質・光沢の最終確認

スキャンデータをそのまま活用したい

最終材料と同じ特性が必要な検証

では、それぞれのケースについて、詳しく見ていきましょう

向いているケース


初期検討段階(試行錯誤が多い段階)


仕様が固まっていない開発初期は、試作回数が増えやすい段階です。

リードタイムが短く、1回あたりのコストを抑えながら繰り返し検証できる点が、このフェーズに向いている理由です。

  • 仕様がまだ決まっていない段階の試行錯誤
  • 機構が成立するか確かめたい(原理試作)
  • アイデアをすぐ形にして確認したい

3Dプリンターは、複雑形状やアンダーカット形状(切削や金型では加工できない凹凸のある形状)にも対応できます。詳細な部品分割を考える前に、一体で形状を作ってしまうことも可能です。

多足ロボット脚部

形状確認(外観・サイズ・組み合わせの確認)


図面やモニター上では気づきにくい問題が、実物を持つことで見えてくる場合があります。
「まずは形にして確認する」という用途に、3Dプリンターはとても適しています。

  • 外観のボリューム感・デザインの確認
  • 部品同士の干渉チェック
  • 部品の組み合わせ・収まりのイメージ確認
  • プレゼンや社内承認用のモデル作成


スキャンデータや手元のデータをそのまま活用したい


3Dプリンターはメッシュデータ(STL・OBJ)をそのまま造形に使えます。
3Dスキャナーで取得したデータや、手軽なモデリングツールで作成したデータも、形状として成立していれば造形に進められます。
切削加工や試作金型と比べて3Dデータ作成のハードルが低い点は大きな利点です。

  • 図面がなく、現物しかない
  • 現物と同じものを作り直したい
  • 現物データをベースに改良しながら検討したい
  • モデリングツールで作ったデータを形にしたい
【現物をスキャンして3Dプリンターで再現した事例】
リバースエンジニアリングサンプル品
図面やデータがない状態からの試作については、ブログ記事図面なしでも試作できる?」 もあわせてご覧ください。

向いていないケース


量産工法との整合性確認


量産で射出成形を予定している場合、材料特性・収縮率・強度が3Dプリンター試作品と根本的に異なります。量産工法との整合確認には、切削加工や試作金型が一般的です。

なお、SLS(粉末焼結積層)方式は強度・耐久性に優れており、機能確認の一部に活用できる場面もあります。


寸法精度が合否基準になる部品


3Dプリンターは、機種や造形方式によって精度は異なりますが、厳しい寸法精度が合否の判断基準になる部品には適さない場合があります。コスト面も考慮して、切削加工を選択するケースが一般的です。


量産レベルの表面品質・光沢の最終確認


積層痕(段差)が残るため、後処理(磨き・塗装)を行わない状態では、最終製品の表面質感や光沢を評価するのには向きません。
磨きや塗装によって仕上がりがどう変わるかは、「3Dプリンター試作の仕上がり見本帳」を参考にしてください。

「3Dプリンター試作の仕上がり見本帳」→ [資料ダウンロードはこちら]

切削加工の方が仕上げの手間が少ない場合もあります。求める品質にどの工法が適しているかは、ぜひ一度ご相談ください。

3Dプリンター製品を磨き・塗装したサンプル

最終材料と同じ特性が必要な検証


3Dプリンターで使用できる材料は限られており、最終製品と同じ材料を使えるケースは多くありません。また、同じ材料であっても工法が異なるため、強度・耐熱性などの特性は変わります。材料特性そのものの検証には適しません。

まとめ

適切な用途で使えば、3Dプリンターは開発スピードとコストの両面で大きな効果を発揮します。
一方、精度や材料特性が重要になる段階では、切削加工や試作金型との使い分けが重要です。

どの工法が適しているか判断に迷う場合は、ぜひ一度ご相談ください。用途・精度要求・スケジュールをヒアリングした上で、最適な工法をご提案します。

お気軽にお問い合わせください

試作方法の選び方については、ブログ記事「試作の方法はどう選ぶ?加工別の特徴と向き不向きを解説」 も参考にしてください。

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